5-5 保証と連帯債務

ビジネス実務法務検定3級
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5-5 保証と連帯債務

①保障債務

(1)保証債務とは

保証債務とは、主たる債務が履行されない場合に備えて、債権者と保証人との間で締結される債務である
保証債務は、特定の不動産などを担保とする抵当権などの物的担保と異なり、保証人の有する様々な財産を以て履行される人的担保である
保証契約は、書面または電磁的方式をもって為されなければその効力を生じない
保証契約は、通常は債務者の依頼(保証委託契約)を介して締結されることが多いが。債務者の意思に反しても締結することができる

(2)保証債務の性質

保証債務は、主たる債務のために締結されるので、主たる債務が成立しないと保証債務も成立せず
主たる債務が消滅すると、保証債務も消滅する。したがって主たる債務が全額弁済されたり、消滅時効にかかり消滅すると
保証債務も消滅する、このような保証債務の性質を附従性という
主たる債務の一部弁済により債務の額が減少すると、附従性により保証債務もそれに応じて減少する
しかし主たる債務について後日増額融資を受け、主たる債務が増額しても、保証債務は当然に増額しない
保証人は、保証契約を締結した時の主たる債務の額を上限として保証人となっているからである
主たる債務について、債権が移転した場合、保証債務も移転する(随伴性)

(3)連帯ではない保証債務の特徴

連帯ではない保証債務は、主たる債務に対して補充的・二次的性質を有するため
保証人には、催告の抗弁権と、検索の抗抗弁権が認められている
債権者が連帯ではない保証人に債務の履行を請求してきた場合、保証人は
まず主たる債務者が破産手続き開始の決定を受けたとき、またはその行方が知れないときは、この限りではない。
債権者が主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済の資力があり
かつ執行が用意であることを証明したときは、債権者はまず主たる債務者の財産について
執行しなければならない(検索の抗弁権)
数人の保証人がある場合には、それぞれの連帯ではない保証債務の内容は
主たる債務の額を保証人の頭数で割った数となる(分別の利益)

②連帯保証

(1)連帯保証とは

保証人が主たる債務者と連帯して債務を負担したとき、その保証債務を連帯保証という
連帯保証契約も、書面または電磁的方法で為す必要がある
連帯保証も保証の一種なので、主たる債務との関係で附従性がある
したがって主たる債務が弁済や時効により消滅すると、連帯保証も消滅する
しかし、連帯保証には補充性・二次性がないので、連帯保証人には
催告の抗弁権・検察の抗弁権がない。また、分別の利益もない
したがって連帯保証の場合、債権者は債務の全額を主たる債務者と連帯保証人に同時に全額請求することができる

(2)連帯保証人に生じた事由

連帯保証債務の生じたことは、原則として、主たる債務に影響しないが
履行・請求・相殺・更改・混同について、主たる債務に影響を及ぼす(絶対効)
したがい、債権者が連帯保証人に請求しておけば、連帯保証債務が時効中断するとともに主たる債務も事項中断する
なお、連帯ではない保証の場合には、債権者が保証人に請求すると、保証債務は時効中断するが、主たる債務には影響せず
主たる債務は時効中断しない

③連帯債務

(1)連帯債務とは

数人の債務者が債権者との間で連帯して債務を負担する場合を連帯債務という
債権者は連帯債務者の一人に対し、またはもしくは順次にすべての連帯債務者に対し、全部または一部の履行を請求することができる
連帯債務者の内部において、負担部分が認められるが、連帯債務者は債権者に対して負担部分限りでの債務を負担するにとどまるわけではない

(2)連帯債務者の一人に生じた事由

連帯債務者の一人に生じた事由は、他の連帯債務者には影響しないのが原則
債権者が連帯債務者の一人から債務の承認を受けても、他の連帯債務者の債務について承認を受けたことにはならない
債権者が連帯債務者の一人に支払の猶予をしても、他の連帯債務者について支払の猶予をしたことにはならない
しかし、履行・請求・更改・相殺・免除・混同・時効の7つについては、他の連帯債務者に影響する
したがって、連帯債務者の一人が債務の全部を履行すれば、他の連帯債務者はその債務を逃れる
そして履行した連帯債務者はほかの連帯債務者に対してその内部的な負担分に応じて求償権を行使することになる
また債権者は連帯債務者の一人に請求して債務の時効中断をしておけば、他の連帯債務者についても時効中断する

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