8-6 遺産分割・遺留分

ビジネス実務法務検定3級
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8-6 遺産分割・遺留分

①遺産分割

(1)遺産分割とは

相続人が1人であれば、遺産分割を考慮する必要はない
しかし、共同相続の場合
共同相続人は、共有関係になっている相続財産に対する一定の割合の相続分を有する
そこで最終的には、土地、建物、株式、預貯金、家財道具などの相続財産について
それぞれ個別の財産ごとに共同相続人のうちの誰が承継するのかを決めることになる
複雑な共有関係が解消される、これが遺産分割である

(2)遺産分割の基準

遺産分割は、遺産に属する物または権利の種類及び性質
各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して行う

(3)遺産分割の時期

共同相続人は、いつでもその競技で、遺産分割をすることができる
ただし被相続人は、遺言で相続開始の時から5年を超えない期間を定めて
遺産分割を禁ずることができる

(4)遺産分割の方法

遺言書に遺産分割の方法が記載してあれば、その遺言の内容に沿って遺産分割を実行する
遺言がない場合や、遺言書に遺産分割の方法が記載されていない場合には
遺産分割について相続人の全員で協議して決める
相続人の1人でも除外されたまま為された遺産分割の協議は無効な協議となる
遺産分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、または協議をすることができないときは
各共同相続人は、その分割を家庭裁判所に請求することができる
家庭裁判所に遺産分割の調停または審判の申し立てをすることになる

(5)遺産分割の効力

遺産分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生じる
ただし第三者の権利を害することはできない

(6)相続開始後に認知された者と遺産分割

相続開始後に認知によって相続人となった者が遺産分割を請求しようとする場合
他の共同相続人がすでにその分割その他の処分をしたときは、価額のみによる支払の請求権を有する

②遺留分

(1)遺留分

兄弟姉妹以外の相続人について、遺言によっても奪われることのない相続財産として
生活保障などのため留保される一定割合を遺留分という

(2)遺留分権利者と遺留分の割合

兄弟姉妹には遺留分が認められていない
兄弟姉妹以外の相続人について、被相続人の財産のうちの一定の割合が遺留分とされている
遺留分権利者が共同相続人である場合、それぞれの遺留分権利者の遺留分の割合は
全体の遺留分(2分の1)に相続分の割合を乗じた割合となる

例)配偶者Aと2人の実子B・Cが遺留分権利者である場合
共同相続人全体の遺留分:2分の1
法定相続分:配偶者2分の1:実子B4分の1:実子C4分の1
配偶者の遺留分:全体の遺留分(2分の1)×拝具者の相続分(2分の1)=4分の1
実子それぞれの遺留分:全体の遺留分(2分の1)×実子の各相続分(4分の1)=8分の1

(3)遺留分の算定

遺留分は、被相続人が相続開始時において有した財産の価額に
その贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除して算定する

(4)遺留分減殺請求

遺留分を害する遺贈または贈与が為されても、その遺贈または贈与が当然に無効となるわけではない
遺留分権利者及びその承継人は、遺留分を保全するのに必要な限度で
遺贈及び相続開始前1年前に行われた贈与等について減殺を請求できる

(5)遺留分減殺請求権の期間の制限

遺留分減殺請求権は
遺留分権利者が相続の開始及び減殺すべき贈与または遺贈があったことを知ったときから
1年間行使しないとき、時効により消滅する
また相続開始の時から10年経過したおきも、遺留分減殺請求権を行使できなくなる

(6)遺留分の放棄

相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限りその効力を生じる
遺留分の放棄をしたからといって、相続人は相続の放棄までも行ったわけではないので
相続人として相続財産の承継ができる
共同相続人の1人の行った遺留分の放棄は、他の各相続人の遺留分に影響をおよぼさない
相続の放棄の場合とは異なり
放棄した遺留分はほかの遺留分を有する共同相続人に帰属するのではない
放棄した遺留分の対象は、遺贈または贈与により取得した第三者に帰属し
その限りで遺留分減殺請求対象とはならない

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