2-5 株式会社の機関
①機関の種類
(1)種類全般
・株主総会
・取締役(取締役会、代表取締役)
・会計参与
・監査役(監査役会)
・会計監査人
・委員会(指名委員会、監査委員会、報酬委員会)
・執行役(代表執行役)
(2)特徴
・株主総会と取締役は必要機関
・公開会社では取締役会は必要機関
・大会社では会計監査人は必要機関
・大会社かつ公開会社は監査役会か委員会のいずれかが必要機関
②株主総会
(1)株主総会
株主総会とは、株式会社において株主によって構成される機関で
会社の組織・運営・管理その他株式会社について一切の事項について決めることができる最高の意思決定機関
(2)決議事項
決議事項とは、定款の変更、資本の減少、会社の解散、合併、事業の譲渡、計算書類の承認、余剰金の配当
取締役・会計参与・監査役の選任と解任、会計監査人の選任と解任、取締役・会計参与・監査役の報酬の決定などである
株主総会ではたくさんの事項が決議されます
株主総会で決議できる範囲は覚えておきましょう
③取締役
(1)取締役
取締役は、定款に別段の定めがある場合を除き
対内的には株式会社の業務を執行し、対外的には会社を代表する
基本的に1人または2人以上の取締役を置かなければならない
※取締役会設置会社の場合は3人以上の設置が必要
ただし代表取締役が選ばれると、代表取締役が株式会社の業務を執行し、対外的には会社を代表することになる
(2)会社との関係
①委任の規定に従う
取締役は、株式会社の決議によって選ばれ、取締役と会社の関係は委任の規定による
その結果、善良な管理者としての注意義務(株式会社の場合は忠実義務という)、
法定・定款・株主総会の決議を順守し、忠実に職務を行う義務を負う
②競業避止義務と自己取引の制限
競業避止義務:取締役は自分の会社の事業と同種の取引をするには株主総会の承認を受けることが必要、という義務
自己取引の制限:会社に損害を与えるおそれのある取締役と会社との取引は株主総会の承認が必要とするもの
(3)取締役の責任
①会社に対して
取締役が任務を怠って会社に損害を与えた場合に、損害賠償責任を負う
②第三者に対して
取締役がその職務を行うときに、悪意または重大な過失によって
会社の債権者などの第三者に損害を与えた場合、損害賠償責任を負う
③刑事責任
会社の財産的な基礎を危うくさせるような行為をした場合、特別背任罪や汚職の罪などに問われる
④監査役
(1)監査役
監査役:会社の業務全般にわたり、取締役と会計参与の職務執行を監査する機関である
監査には取締役の職務執行を監査する「業務執行」と、計算書類を監査する「会計監査」がある
(2)主な権限
・いつでも取締役、会計参与、支配人などの使用人に対し、事業の報告を求めることができる
・取締役会に出席し、必要な場合には意見を述べなければならない
・取締役会の招集を請求ができる
・取締役の法令や定款の違反行為の差し止めを請求できる
・取締役と会社間の訴訟において会社を代表する
⑤委員会設置会社
委員会設置会社とは、指名委員会、監査委員会、報酬委員会を置く株式会社のこと
株式会社は定款で委員会設置会社となることができる
委員会設置会社では、取締役会を設置しなければならない
執行役が取締役会で選ばれ業務執行を行い、会社を代表する機関として執行役員が取締役会で選ばれる
その結果、取締役は業務執行権を有しないことになる
⑥支配人
支配人とは、支店長や営業所長などの肩書がついた者で、会社に代わって、
その事業に関して一切の裁判上または裁判外の行為をする権限をもつ使用人のことである
株式会社の支配人は取締役または取締役会が選ぶ
これに対して、支配人でないのに会社の本店または支店の事業の主任者としての名称を付けた使用人を表見支配人という
競業禁止義務、精力分散防止義務が付帯されている
支配人は登記することも可能