3-4 不動産の賃貸借契約

ビジネス実務法務検定3級
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3-4 不動産の賃貸借契約

①賃貸借

(1)賃貸借契約

賃貸借契約とは、賃貸人が相手方である貸借人にある物を使用または収益させ
その対価として貸借人が賃料を支払う旨の契約である
「ある物」は不動産のほかに動産を含み、賃貸人と貸借人の合意のみで成立する諾成契約である

(2)不動産の賃貸借契約と借地借家法

動産の賃貸借は、原則として民法の規定だけが適用されますが
建物所有を目的とする地上権または土地の貸借権(借地権という)や
建物の賃貸借については借地借家法が適用される
弱い立場になる貸借人を保護するための民法の特別法である
たとえば、契約期間・更新条件などの契約条件で、貸借人に不利益なものは無効となる
しかし、一時使用のために設定されたことが明らかな土地や建物の賃貸借については適用されない
例)期間を定めたイベント等の開催期間中に限り会場として建物を借りる場合等

②賃貸人と貸借人の義務

(1)賃貸人の義務

賃貸人は貸借人に目的物を使用収益させる義務を負う)
この場合、賃貸人は必要ならば目的物の使用収益について修繕義務を負う
また、貸借人が貸借物について賃貸人が負担すべき必要な費用を負担したときは
賃貸人は貸借人に直ちに費用を償還する義務を負う
貸借物に改良が加えられたときは賃貸借終了のときにその費用を償還する義務を負う(民法608条2項)

(2)貸借人の義務

貸借人は賃貸人に賃料を支払う義務を負う
貸借人は目的物を返還するまで善良な管理者の注意義務をもって目的物を管理しなければならない(善管注意義務)
賃貸借契約終了時には目的物を原状に回復して返還しなければならない

③対抗要件

(1)民法の対抗要件


不動産貸借権は債権ではあるが、登記できる
登記すれば、賃貸人以外の第三者にも貸借権を対抗できる
しかし特約がないかぎり、賃貸人に貸借権登記に対する協力義務がなく
その結果、現実には不動産貸借権の登記はほとんど実施されていない

(2)借地借家法の対抗要件

貸借人を保護するため、登記以外の方法で対抗要件を認めている
第一に、借地契約では借地上の借地人所有の建物について登記があれば借地権を第三者に対抗できる
この登記は、地主の協力なくして登記できる
第二に建物の賃貸借では、現実に引き渡されている限り
貸借人は第三者に借家権を対抗できる

④存続期間と更新

(1)貸借権の存続期間

賃貸借の存続期間は最長で20年とされるが、更新はできる

(2)借地権の存続期間

借地権とは建物所有を目的とする地上権と土地の貸借権のことで
そのうち更新のないものを定期借地権という
更新のある場合は最初の契約時は30年、1回目の更新時は20年
2回目以降は10年で、その各々につきこれより長い期間を定めたときはその期間となる
定期借地権の存続期間は、用途に応じて50年以上、30年以上、10年~50年未満と3種類に分かれている

(3)借家権の存続期間

当事者で定める場合は、長期について制限はなく
最短の期間で1年、1年未満の期間を定めた場合は期間の定めのないものとされる

(4)更新

①借地契約の更新

1.当事者の合意による場合
2.借地権者の請求による場合
3.期間満了後も土地の使用を契約している場合

の3通りありますが
2.3.については、賃貸人は正当な事由があれば遅滞なく異議を述べて更新を拒絶できる

②借家契約の更新

1.正当事由がないのに更新拒絶の通知や借家条件を変更するのであれば更新をしない旨の通知をしなかった場合
2.貸借人により使用継続の場合

の2通りあります
2の場合、賃貸人が遅滞なく異議を述べたときは更新されない

③正当事由

正当事由があるか否かの判断は、賃貸人・貸借人双方の土地または建物の使用を必要とする事情
借地借家の従前の経過及び土地の利用状況ならびに立退料などを総合的に考慮してきめることになる

⑤貸借権の譲渡・転貸

貸借人は、賃貸人の承諾がなければ、貸借権の譲渡や貸借物を第三者に転貸することができない
賃貸人に無断で貸借権の譲渡や転貸をすれば、賃貸人は賃貸借契約を解除できる
貸借物の使用状態は誰が使用するかによって異なり、賃貸人の利益を守る必要があるからである
しかし、使用状態があまり変化しない場合、賃貸人の承諾を要求する必要性は少ないともいえる
そこで、貸借権の無断譲渡・転貸が賃貸人に対する背信的行為とならないような特段の事情がある場合には
賃貸人の承諾がなくても、賃貸人は賃貸借契約を解除できず、無断・転貸でも有効となる

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