8-1 夫婦間の法律関係

ビジネス実務法務検定3級
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◆第八章ビジネスに関連する家族法

8-1 夫婦間の法律関係

①婚姻の成立と内縁関係

夫婦は婚姻の契約(合意)をするとともに、作成した婚姻届けが受理されてはじめて、婚姻関係が成立する
婚姻届が受理されるためには、婚姻適齢、重婚あるいは近親婚などの婚姻障害事由がないことが必要
夫婦用同生活の実態はあっても、戸籍法の定めるところによる届け出をしていない場合は
いわゆる内縁関係にとどまり、法律上の婚姻関係にはならない。
しかしその実態を尊重し、準婚関係として可能な限りではありますが
婚姻関係に準じた扱いが為されている

②婚姻の効力

婚姻することにより、1~5のような法律関係が生じる

1.夫婦同氏の原則
2.夫婦同居、協力、扶助の義務
3.貞操義務
4.未成年について婚姻による成年擬制
5.夫婦間の契約の取消権

(1)夫婦同氏の原則
①夫婦の氏

夫婦は同意により、共通の1つの氏を用いる
氏は、夫婦のどちらかの氏を選択するのであり、全く別の氏を用いることはできない
内縁関係の場合は、夫婦はそれぞれ自分自身の氏を称し続ける

②夫婦の一方が死亡した場合に生存配偶者の氏

夫婦として用いていた従前の氏を引き続いて用いる方が社会生活を送りやすいこともあることから
婚姻により氏を変えた生存配偶者の氏もそのままであるのが原則
しかし、生存配偶者のその後の社会生活上の都合が考慮され、いつでも婚姻前の氏(急性)に戻すことができる

③離婚した場合の夫婦の氏

婚姻により氏を変えた配偶者は、離婚により婚姻前の氏に戻るのが原則
婚姻関係を意思により解消させ、それぞれ将来に向かって新しい生活をスタートするのだから
氏も当然婚姻前の元の氏にするのがふさわしいといえるからである
しかし、長年つかってきた氏を離婚により旧姓に戻るのはビジネスパーソンとして
社会活動をしてきた方などにとってその後の社会生活上の不都合がおおきすぎることもある
そこで、離婚後3か月以内に離婚時の氏(婚姻中に用いていた氏)を使用する旨の届け出をすれば、離婚時の氏を使用できる

(2)夫婦の同居、協力、扶助の義務

夫婦は家庭という共同生活を維持していくのだから、相互に同居、協力、扶助の義務を負う
しかし、個人の尊重という点から、この義務は法的な強制にはなじまない
この義務を実現しようとしない場合には、離婚原因となりえる

(3)貞操義務

家庭における一夫一妻制を維持するため、夫婦それぞれに貞操義務を負わしている
この義務に違反した場合は離婚原因となりえる

(4)未成年について婚姻による成年擬制

未成年者は、保護者である法定代理人(両親や成年後見人)の同意を得ずに財産的取引を行った場合には
判断力が不十分な未成年者を救済するため、その取引を取り消すことができるのが原則
しかし、未成年者も婚姻をすれば自立した過程を築いたといえる
また、家庭内のことに法定代理人の干渉を許すと、円満な家庭を壊すことになる
そこで、未成年者であっても婚姻をすれば成年者と同じ扱いをし、法定代理人の干渉を排除することにした
この場合は、未成年者であることを理由に、契約を取り消すことはできない

(5)夫婦間の契約の取消権

夫婦間の契約は、愛情のあらわれでもあるので、その実現について法律は基本的に干渉しない
従って、夫婦間で為された契約は、婚姻中、第三者の権利を害するというような迷惑を及ぼさない限り
取り消すことができることを原則とした
しかし夫婦関係が破綻してしまっている場合に為された契約は、愛情の現れとはいえないので
理由なく取り消すことはできない

③婚姻関係の解消

婚姻関係の解消には次の二つがある

(1)夫婦の一方の死亡の場合

夫婦の一方が死亡すると、夫婦共同生活をしているという状態ではなくなるので
婚姻関係は将来に向かって当然に終了する

(2)離婚の場合

夫婦が離婚をすると、夫婦共同生活は解消されるので、婚姻は将来にむかって終了する
離婚には、夫婦の話し合いによる協議離婚と
不貞、悪意の遺棄、婚姻関係の破綻などの法定の離婚原因に基づく
一方的な裁判離婚がある。いずれも、戸籍法による届け出が必要となる

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