5-4 非典型担保

ビジネス実務法務検定3級
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5-4 非典型担保

①非典型担保

民法は、留置権、先取特権、質権及び抵当権の4種類の担保物権を定めている
民法の明文規定によるので、典型担保物権といえる
優先弁済的効力のある先取特権、質権、抵当権ともに、債権回収のためには、担保物を競売にかけて競売代金から配当を受けることになっている
しかし、満足できる価格で競売がされるとは限らない
債権者は、債権を清算する代わりに担保物を自分の所有にしたいと考えることもある
そこで、取引会社の必要性から担保物を競売にかけずに債権回収する方法として
仮登記担保、譲渡担保、所有権留保が用いられるようになっている
いずれも民法の担保物権には規定がないので、非典型担保と呼ばれている
その他にも、再売買の予約や買戻しが、担保目的で使われている

②仮登記担保

(1)仮登記担保とは

仮登記担保とは、金銭債務を担保するため、その不履行があるときは
債権者に債務者、または第三者に属する所有権その他の権利の移転などをすることを目的としてされた代物弁済の予約
停止条件付代物弁済契約その他の契約で、この契約による権利について仮登記または仮登録のできるものである場合をいい
仮登記担保法による仮登記担保とされる

(2)代物弁済の予約

代物弁済の予約とは、あらかじめ債権者と債務者の間で、債務の履行が為されない場合に備えて、債務の履行に代えて
本来の給付とは異なる特定の物を引き渡すことを請求できる権利を債権者に付与する契約をいう
債務不履行になった場合に、債権者が代物弁済の予約に基づいて
予約完結権を行使する(代物弁済の本契約にすること)と、債務履行に代えてそのものの所有権が債務者から債権者に移転する

(3)停止条件付代物弁済契約

債権者と債務者との間で、代物弁済契約を締結するが、直ちにそのものの所有権が債務者から債権者に移転するのではなく
債務不履行となるまで、所有権移転の効力の発生を停止させる契約である
債務不履行になった場合に、停止条件が成立し、無条件となり、直ちに債務者から債権者に所有権が移転する

(4)清算義務

債権者は、清算期間が経過したときの土地などの化学が、その時の債権のなどの額を超えるときは
その超える額に相当する金銭(清算金)を債務者などに支払わなければならない
清算金の支払いの債務と土地などの所有権移転の登記及び引渡の債務の履行は、同時履行の関係となる
清算期間が経過するまでにされたこの生産義務に反する特約で、債務者などに不利益なものは無効となる

③譲渡担保

(1)譲渡担保とは

債権担保の目的で、担保の目的物となる動産や不動産を債務者などから債権者に譲渡する契約をいう
所有権は債務者に移転するので、不動産の場合、譲渡担保を原因として所有権の移転の登記がされる
しかし、債権担保の目的なので、通常、占有権は債務者などの担保提供者のものに留められる
また債権担保の目的なので、債権が弁済されて消滅すれば、債権者は譲渡担保として
担保物の所有権を取得しておく必要がなくなる
したがって、所有権は債権者から債務者などの担保物の提供者に戻される

(2)譲渡担保の目的物

民法では物権の対象は、2つの独立の物であることを原則としている
しかし、構成部分の変動する集合動産も、特定の倉庫の、特定の種類の物の一定数量というように
種類、所在場所及び量的範囲を指定するなど目的物の範囲が特定されれば
集合物譲渡担保として、譲渡担保の対象とすることができる(判例)

(3)清算義務

債務の弁済がされなかった場合、譲渡担保として取得している動産や不動産の所有権は
債権者のもとにあるままとなる
しかし担保物の価額が債権額を上回る場合、清算をしないと債権者に債権額以上の利益を与えることになってしまう
そこで債権額を上回る担保物の価額分について、債権者から債務者などの担保物の提供者に
差額を清算金として交付する必要がある(帰属清算型)

④所有権留保

売買契約が締結されれば、原則として直ちに所有権が売主から買主に移転することになっている
代金後払いや割賦販売の場合でも、買主は直ちに引き渡しを受けて使い始める
しかし代金支払い義務を負っている買主の支払いが滞ることになると
売主には販売した物の価値と未払い代金分の二重の損害が生じてしまう
そこで、代金が完済されるまで、買主に引き渡した物の所有権を売主が留保しておいて
代金債権の確保を図ることができる、このことを所有権留保といい、特約で所の移転時期を変えるわけである
滞った場合には、売主は留保している所有権に基づいて返還請求権を行使し
買主から販売物を取り戻すことになる、このようなことは自動車を割賦販売で買った場合などにも見られる
割賦販売法も、割賦販売業者の所有権留保について推定規定を定めている

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