2-2 企業の取引活動と商法及び商業登記制度

ビジネス実務法務検定3級
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2-2 企業の取引活動と商法及び商業登記制度

①企業の取引活動

(1)商法、会社法の適用

企業の活動や取引については、民法の特別法として商法、会社法が適用される
商取引は効率的かつ迅速に行われ、同種の手続きが反復、また一括して為される為
民法では十分にまかなえないからである

(2)商人

商人は、自己の名をもって商行為をすることを業とする者のこと
転売して利益を得る目的で、土地の売買と継続して行っている者なども該当する
商人には個人と法人があり、法人は会社法の適用を受ける

(3)商行為

商行為には以下の4種類が存在する

①絶対的商行為

誰が行っても常に商行為とされるものをいい、営利性が強いので行為の主体は商人か否かを問わない
例)売却して利益を得るために動産や、不動産有価証券を有償で取得する行為

②営業的商行為

営業として営まれたとき商行為とされるもの
1度のみでは営業的商行為には該当せず、反復して為される必要がある
例)賃貸して利益を得るために動産、不動産を有償で取得する行為など
※①と②を基本的商行為という

③附属的商行為

商人が常業のためにする補助的な行為
例)不動産の売却や賃貸を業としている会社が、運転資金を銀行から借り入れる行為資金の借入は営業のためにすると推定されるので
商行為の附属=附属的商行為と見なされる

④一方的商行為

当事者の一方にのみ商行為となる行為は、商法が当事者の双方に適用される
たとえば、客がデパートで服を買った場合、デパートが服を販売するのは商行為だが客が服を買う行為は当然商行為ではない
しかしこの場合も商法はデパートと客の両者に適用される
また、当事者の一方が2人以上いる場合も、全員に商行為は摘要される

②商業登記制度

(1)商業登記

商業登記とは、商人についての商法上の公示方法で
商号、規模、代表取締役や支配人の氏名など、営業に関する重要な事項を公示して、
商業登記簿に記録する登記のこと
大規模かつ迅速に行われる企業の営業活動が円滑に安全に為されることを確保する意味がある
会社の本店所在地の登記所に備え付けられる
商業登記は権利義務の主体ごとに登記簿に分けて記録される
不動産登記簿が権利(土地や建物)ごとに作成されるのと大きな違いがある

(2)登記事項

登記事項は法律で定められているが
たとえば株式会社の設立の登記事項の主なものは以下の通り

  1. 会社の目的
  2. 商号
  3. 本店及び支店の所在場所
  4. 資本金の額
  5. 発行できる株式の総数
  6. 取締役の氏名
  7. 代表取締役の氏名・住所

(3)効力

①一般的効力

登記事項については、登記がない限り善意の第三者に対抗できない
たとえば、代表取締役は登記事項であり
当該代表取締役が解任された場合には、解任の登記をする必要がある
解任の登記をする前に当該代表取締役であった者が
善意の第三者が出現し売買契約が結ばれても、会社は責任を負う必要はない

②特別な効力

(ⅰ)登記が成立要件の場合
会社が成立するためには、本店の所在地で設立の登記をする必要がある
(ⅱ)登記が対抗要件の場合
商号の譲渡は登記をすることにより、第三者に対抗できる

③商号
(1)商号とは

商人が営業活動をする場合に自分を表すために使う名称
たとえば、「○○株式会社」「△△商店」など

(2)商号自由の原則

商人は原則として、商号を自由に選ぶことができる

(3)商号単一の原則

1つの営業に関しては、商号の数は原則として1個に限られる

(4)会社の商号

会社は、商号の中に、その会社の種類を示す文字を用いなければならない
具体的には、株式会社・合名会社・合資会社・合同会社の文字を商号の中に入れる必要がある
これに反し、会社でない者は商号の中に会社であることを示す文字を使用することはできない
なお、会社は個人商人と異なり、設立時に商号を必ず登記しなければならない

(5)ほかの商人と間違われるおそれのある商号の使用の禁止

不正の目的をもって、他の商人または会社であると間違われるおそれのある名称または商号を使用することはできない
これに違反すると、営業上の利益を侵害されたか、または侵害されるおそれのある商人または会社は
違反するものに対して侵害の停止または予防を請求することができる

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