5-6 緊急時の債権の回収

ビジネス実務法務検定3級
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5-6 緊急時の債権の回収

①自力救済の禁止

債権者は、債務者が債務の履行をしようとしない場合であっても
直接に債権額に相応した債務者の財産を持ち去ることはできない
原則として、自力救済は禁止されている
新たな紛争の発生を防ぐために、債権者は裁判手続きを経た債権回収の方法によらなければならない

②裁判手続きによる債権回収

(1)訴訟手続き

債権者が原告となり債務者を被告として、民事訴訟法により債権額の支払を求める給付訴訟や
目的物の引き渡しを求める給付訴訟を提起するという方法である
「訴えの提起」⇒「口頭弁論」⇒「判決」という慎重な手続きによるため
勝訴判決を得るまで時間はかかる。敗訴した当事者は、控訴さらに上告をして争うことができる

(2)少額訴訟とは

債権額が60万円以下の金銭の支払いを求める場合に、1回の口頭弁論で判決を下す手続きである
迅速な事件処理により勝訴判決を得ることができる、しかし金銭以外の者の引き渡しを求める場合には使えない

(3)支払督促

金銭その他の代替品または有価証券の一定数量の給付を目的とする請求について
債権者の申立に応じて簡易裁判所書記官が為す債権回収の手続きである
口頭弁論を経ないので、迅速案事案処理が為される
債務者の言い分を聞かずに為されるので、債務者の意義があると、通常の訴訟手続きに移行する
強制執行をするために債務名義とするには、支払い督促に仮執行宣言の付与を受けておく必要がある
支払い督促は、不動産や会議などの代替性のないものの引き渡しを求める場合には使えない

(4)即決和解(起訴前の和解)

物の引き渡しについて紛争が生じた場合に、簡易裁判所において即決和解の手続きをしておけば
和解の内容にお維持手債権者は債務者から物の引き渡しを得られるという、
金銭の支払い以外においても、債務名義とすることができる手続きである
紛争解決に向けた当事者の和解をするという合意が前提となる

③強制執行

債権者が債権の請求について勝訴判決を得たからといって、債務者が弁済に応ずるとは限らない
そこで、債権の回収を実現するためには、さらに裁判所による強制執行の手続きを経る必要がある
この強制執行をするためには、債務名義が必要とされている
ここでは代表的な債務名義について取り上げる

(1)確定判決

判決が為されていても、判決に不服の当事者は上訴により争うことができる
そこで上訴期間の経過などにより、もはや争うことができない状態になってときは
判決は確定し、効力が生じる。
給付判決の場合には、確定することにより執行力が商事、その確定判決が債務名義となる

(2)仮執行宣言付き支払督促

支払督促について仮執行宣言の付与がされることにより債務名義となる

(3)即決和解(起訴前の和解)

即決和解の和解調書がシム名義となる

(4)認諾条項付き公正証書

金銭の支払いについて強制執行を受けることを認めるということを内容とする公正証書を作成すると、その公正証書は債務名義となる

④債務者の倒産

債務者の資産状態が悪化し、支払い不能または債務超過となり、事業の継続が困難になることがある(倒産)
倒産処理により、債権者は債権の回収を図ることになる
倒産処理には、任意整理と法的整理がある
任意整理は、当事者である債権者と債務者の協議による倒産処理で、債権の分割払いとすることが可能となる。
法的整理は、裁判所が関与する手続きであり、再建型と清算型がある

(1)再建型整理

再建型整理は、再建を目的とするので、債務者の財産を配当に回すのではなく
再建のために債務者の財産を活用し、再建した事業の収益から債権の配当を得る、という手続き

①民事再生

経済的に窮地にある債務者の事業または経済生活の再生を図ることを目的とする
個人、法人、どちらも対象となる

②会社更生

経済的に窮地にある株式会社が、裁判所の指揮監督の下に会社の事業の維持構成を図ることを目的とする
会社のうち、株式会社のみが対象となる

(2)清算型整理

清算型整理は債務者の財産を処分して、すべて債権者への配当に回してしまう手続き

①破産

債務者が債務を完済する見込みのない場合、強制的に債務者の全財産を換価し
そう債権者にその債務額に応じて公平に配当し、清算をする手続き、個人、法人ともに対象
債務者個人破産の場合、債務者が自ら裁判所に申し出て、破産手続き開始の決定を受ける(自己破産)

②特別清算

清算株式会社に、清算の遂行に著しい支障をきたすべき事情があるとき
または債務超過の疑いがあるときは、特別清算となる、対象は清算株式会社のみ

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