4-1 法人の財産の取得にかかわる法律

ビジネス実務法務検定3級
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◆第四章 法人財産の管理と法律

4-1 法人の財産の取得にかかわる法律

①財産の所有権の移転時期(売買契約の場合)

売買契約の対象となるもので代表的なものは不動産や動産であり、特約がない限り
当事者の意思表示だけで移転の効力を生じる
売買契約では、売主の意思と買主の意思が合致すれば、目的物の所有権は移転する
売主の意思は「売る」買主の意思は「買う」という意思表示である
しかし特約によって所有権移転時期を変更することは可能で、内容的には目的物の引渡し
登記または代金の支払いがあったときに所有権が移転するというものが多い
不動産の売買契約において「当該不動産は、所有権移転登記申請のときに
売主から飼い主に所有権が移転する」旨の特約などである

②所有権の移転を第三者に主張する要件

(1)対抗力

対抗力の有無は当事者間では問題とはならず、当事者以外の第三者に対して問題となる
対抗は権利の取得などを第三者に主張することで、対抗力を備えた者が所有権を取得することになる
たとえばA会社がBに新築の建物を売却したが、同じ建物をCにより高価で売却する契約を結んだ場合
BとCのいずれが所有権を取得するかについて対抗力が問題となる

(2)不動産

不動産とは、土地とその定着物のこと(民法86条1項)で、定着物の代表的なものが建物である
建物は土地と別個のものとして扱われる
土地や建物の不動産に関する物権の移転、設定については、不動産登記法にしたがって登記をしなければ
取得した検地を第三者に対抗できない

(1)の新築の建物の二十条との場合、BとCのうち、先に所有権移転の登記をした者が対抗力を取得することとなる
Bが先に登記をすればCに対して新築建物の所有権を主張できる(逆も然り)
所有権を取得できなかったものは、売主に対して損害賠償請求権を行使できる

(3)動産

動産とは、不動産以外のものをいう
乗車券、商品券は無記名債権の一種なので動産として扱われる
動産が二重に譲渡された場合、その所有権を第三者に主張するためは
どの動産の引き渡しを受けなければならない

②即時取得

(1)即時取得とは

物を他人から借りたか預かったものまたは盗んだ者は、その物を所持しているが、所有権を有しているわけではない
厳密には、このように当該動産の譲渡を受けた者は所有権を取得するというわけではないからである
しかし売買などの取引行為によって他人から物を購入する場合
買主は売主が正当な所有権者であるか否かその都度確認しなければならず
動産の取引を安全かつ円滑に行うことができなくなる
そこで、一定の要件の下に、動産の取得者に権利の取得を認めた

(2)要件

①目的物が動産であること

不動産や債券は即時取得の対象にはならない

②取引行為によって動産を動産として取得したこと

即時取得は取引の安全を保護する制度なので、必ず売買などの取引が必要となる
他人の山林を、自分の山林と誤認して伐採しても
即時取得によってその材木の所有権を取得することはできない

③前主が無権利者であること

取引の相手方が無権利者でなければならない
無効な売買に基づいて動産を占有しているものから購入した場合、即時取得が摘要される

④善意・無過失・平穏・公然に占有を取得したこと

全主である相手方が無権利者であることを知らず、かつ知らないことに過失がないことが必要

③盗品や遺失物の督促

盗まれたものやなくしたものは、即時取得の要件を満たしていても
被害者はなくした者は、2年間は占有者にたいして返還を請求できる

④財産としての債権の譲渡

ここでの債権は、すべての債権を意味するものではなく指名債権に限られる
指名債権とは、債権者が特定され、債権の成立・譲渡のために証書の作成・交付が必要としない債権のことである
たとえばAがBに消費貸借に基づく金銭債権を有していて、その債権をCに譲渡する場合である
譲受人Cが債務者Bに履行を請求できるか否かが問題となるが
そのためには譲渡人(債権者)AからBに対して
AからCに債権を譲渡した旨を通知するか、または譲受人CからAまたはBに債権の譲渡について承諾をしなければならない

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