6-2 消費者契約法による消費者の保護

ビジネス実務法務検定3級
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6-2 消費者契約法による消費者の保護

①消費者契約法とは

消費者と事業者の間には、情報の質及び量並びに交渉力に落差がある
対等な当事者を前提とする民法の原則をそのまま適用すると、消費者にとって不利益な契約を締結してしまうことになる
そこで消費者の利益を擁護するため、民法の規定を一歩進めた規定をしている
事業者の一定の行為により消費者が誤認し、また困惑した場合について契約の申込
またはその承諾の意思表示を取り消すことができるようにしている
事業者の損害賠償の責任を免除する条項その他の消費者の利益を不当に害することとなる条項の全部または一部を無効とする
消費者の被害の発生または拡大を防止するため適格消費者同体は、事業者などに対して差止請求をすることができる

②消費者契約法で使用される重要用語

・消費者

個人(事業として、または事業のために契約の当事者となる場合を除く)

・事業者

〇法人その他の団体
〇事業としてまたは事業の為に契約の当事者となる場合における個人

・消費者契約

消費者と事業者の間で締結される契約

・適格消費者団体

不特定かつ多数の消費者のために消費者契約法の規定による差止請求権を行使するのに必要な適格性を有する法人である
消費者団体として内閣総理大臣の認定を受けたもの

③消費者契約法の適用される場合

消費者である個人と事業者との間で締結される契約に適用される
したがって事業者間での契約や個人間での契約には、消費者契約法は適用されない
消費者契約法は、労働契約にも適用されない

④消費者契約法による取消し

消費者が為した事業者との消費者契約の申込み、またはその承諾の意思表示が消費者の誤認または困惑による場合には
消費者はその意思表示を取り消すことができる

(1)消費者の誤認による場合

①重要事項について事実と異なることを告げられ、その内容が事実であると誤認した場合
②将来における価格、将来において受け取るべき金額その他の将来における変動不確実な事項につき断定的判断を提供され
その内容が不確実であると誤認した場合
③契約締結の勧誘に際して、重要事項または重要事項に関連する事項について利益となることを告げ
かつ消費者に不利益となる事実を故意に告げなかったことにより、不利益となる当該事実が存在しないと誤認した場合

(2)消費者の困惑による場合

①消費者契約の締結について勧誘をするに際し、消費者がそのまま住居またはその業務を行っている場所から
退去すべき旨の意思を示したにもかかわらず、退去しないことにより困惑した場合
②消費者契約の締結について勧誘をするに際し、勧誘している場所から消費者を退去させないことにより困惑した場合

(3)取消の効果

取消しをすると、はじめから契約関係はなかったことになるので、当事者間(消費者と事業者間)では原状回復義務が生じる
しかし取り消しをもって善意の第三者に対抗することはできない

(4)取消権の行使期間(消費者契約法7条)

追認をすることができるときから6か月間行使しないとき、時効により消滅する
消費者契約の締結の時から5年を経過したときも、取消権が消滅する

⑤消費者契約法による条項の無効

消費者の利益を不当に害することとなる条項の全部または一部を無効とする

①事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部免除条項
②事業者の故意または重大な過失による債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部免除条項
③事業者の債務の履行に際してされた不当行為により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部免除条項
④事業者の債務の履行に際してされた故意または重大な過失による不法行為により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部免除条項
⑤目的物に隠れた瑕疵があるときに、瑕疵により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部免除条項
⑥消費者契約の解除に伴う損害賠償額の予定または違約金を定める条項について、事業者に生ずべき平均的な損害額を超える部分

⑥適格消費者団体

適格消費者団体は、特定非営利活動法人法に規定する特定非営利活動法人(NPO法人)または一般社団法人もしくは一般財団法人のうちで
不特定かつ多数の消費者の利益の用語を図るための活動を主たる目的とし、差止請求関係業務を実施できる体制が整備されているものとして
内閣総理大臣の認定を受けた団体である

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