3-3 消費貸借契約

ビジネス実務法務検定3級
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3-3 消費貸借契約

①契約の分類

(1)双務契約と片務契約

双務契約は契約が成立することで、当事者双方が互いに対価的な債務を負担する契約である
たとえば、売買契約では、売主が買主に商品を引き渡す債務を負担し
買主が売主に代金を支払うという債務を負担することで、互いに対価的な債務を負担することになる
これに対して、契約当事者の一方のみが債務を負担する契約を片務契約という
たとえば、贈与契約のように、贈与者のみが贈与の目的物を贈与するという債務を負担し
受贈者は贈与者に対して何らの債務を負担しない契約などがある

(2)有償契約と無償契約

有償契約は、契約が成立することで、当事者双方が対価的な経済的価値を支出する契約
たとえば売買契約では、売主が買主に商品を引き渡すという経済的支出をし
買主が売主に代金を支払うという経済的支出をすることで、両社は対価的な意味を持つことになる
これに対して、無償契約は当事者の一方のみが経済的価値を支出することを内容とする契約で
贈与契約がその例である

(3)諾成契約と要物契約

諾成契約は、当事者の合意のみ成立する契約で、民法で定める契約の大部分を占める
これに対して要物契約は、契約が成立するためには、当事者の合意の他に者の引き渡しが必要となる契約で
現在は書面または電磁的記録によらない消費貸借契約のみが要物契約とされています

②消費貸借契約

(1)消費貸借契約とは

消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量が同じものを返還することを約束して
相手方から金銭その他の物を受け取ることによって効力が発生する契約である
消費貸借契約は双務契約で、契約が終了すれば借主は貸主に借りたものを返還する義務を負う
この点が所有権移転型の売買契約と異なっている
企業にとって、代金債務の支払いや従業員の給与の支払いに充てられる運転資金や設備投資に対する
資金の調達は非常に重要である
資金の調達は、企業の収益、出資や株式の発行などの内部資金を積み立てるほか
外部資金を借り入れることによっても行われる
外部資金の借り入れは、銀行などの金融機関との間で為されるが、取引企業の間で行われることもある

(2)利息

①原則(無利息)

消費貸借は、当事者の一方が相手方から金銭その他の物を実際に受け取ることによって効力が生じる(成立する)要物契約である
民法では、無利息が原則である
しかし企業間では、利息の約定をしないでも、貸主は年6%の法定利息を請求することができる

②利息の制限

利息についてが「利息制限法」「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」及び「賃金業法」などによって
利率の規制が行われている
たとえば、利息制限法では、経済的に立場が弱い借主を保護するために約定利息について一定の上限を設けており
それを超えた部分の利息は無効とされている
また出資法では、賃金業者が金銭の貸付けを行う場合には、年利率の最高限度額(20%)を超える契約としたり
利息を受け取ったりすると、刑事罰が科される

(3)返還時期

貸主は、あらかじめ返還時期を定めた場合は「定められた返済時期」に、
返還時期を定めていない場合は「直ちに返還を請求することはできず」
相当の期間を定めて勧告をする必要がある

(4)債務不履行

利息付金銭消費貸借の場合、契約内容が利息と元本を毎月分割して返済するのが普通で
この場合には、月ごとに一回分の支払い期限がくることになる
借主は契約で定められた額を毎月貸主に返済しなければならず、怠れば債務不履行となる
その場合、その月の支払い分だけでなく債務残額についても
期限の利益を失い残額全額について支払う旨の特約を結ぶのが普通

(5)消費寄託契約との違い

消費寄託契約は寄託されたもの(受寄者という)が寄託されたものを消費することができ
同種・同等・同量のものを返還すれば良い契約
消費貸借契約に関する規定が準用されるが、返還時期を定めなかった場合について違いがある
消費貸借契約では相当の期間(猶予期間)がおかれるのに対し
消費寄託契約では、寄託者はいつでも返還を請求することができる

銀行預金が消費寄託契約の中でも一番なじみがあるものです
預け入れたお金はいつでも、同種同等同額のものを引き出せますよね

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