4-3 知的財産①特許権、実用新案権、意匠権
①知的財産権
(1)保護の必要性
現在は、人または企業の知的な活動によって生み出される財産が重要となり
この財産を知的財産といい、法律で保護されているものを知的財産権という
知的財産権には、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権などがある
知的財産の所有者は、このような知的財産権を独占的に使用したり
他人に有償で使用させたりして利益を上げることができる
現在は「知的財産基本法」が制定され、知的財産の創造、保護及び活用に関しての政策を
集中的、計画的に促進することを目的としている
(2)知的財産と知的財産権
①知的財産
知的財産基本法で「知的財産」とは
第一に、発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物など人間の創造的活動により生み出されるもの
第二に、証憑、商号など事業活動に用いられる商品または役務を表示するもの
第三に、営業秘密その他の事業活動に有用な技術上または営業上の情報をいう
②知的財産権
特許権、実用新案権、意匠権、著作権、商標権などの知的財産について法令により定めらえた権利
または法律上保護される利益にかかる権利をいう
②特許権
(1)特許制度
特許制度は、発明をした者に対して、一定期間、その発明を独占して実施する権利を与え
一方でその発明を公開して公衆にその発明を利用する機会を与え
特許権者の利益と第三者の利益の調和を図ることを目的とする
(2)特許権の意義と取得
特許権は特許を受けた発明を業として独占的に実施しうる排他的権利であり
存続期間は、原則として特許出願の日から20年間である。
発明は、技術的思想の創作のうち高度のものとされている
特許権を取得するためには特許庁へ出願し、審査を受け特許権の設定の登録がされなければならない
同一の発明に対し複数の出願が為された場合、発明の前後ではなく、最初に出願した者に対して与えられる(先願主義)
(3)特許要件
①産業上利用可能性
産業上利用できる発明でなければならず、個人的な利用にとどまるものは保護に値しない
作業には、工業、農林水産業、商業、サービス業も含まれる
②新規性
発明がいまだ社会に知られていなものでなければならない
③進歩性
その発明の属する技術分野における通常の知識を有するものが
出願時の技術常識に基づいて容易に発明をすることができないものでなければならない
(4)発生と実施許諾
特許を受ける権利は、その設定登録によって効力を生じ発明者に帰属する
特許権者は、特許発明を自ら実施するだけでなく、他人に対しても実施許諾をすることもできる
専用実施権と通常実施権があり、前者は設定契約の範囲内でその特許発明を独占排他的(1社のみ)に実施できる権利で
後者は設定契約の範囲内で、特許発明を実施できるが独占排他的でない権利である
専用実施権を許諾した場合は、特許権者も自ら特許発明の実施をすることができなくなる
(5)職務発明
企業の従業員が企業の業務の範囲内で職務として発明した場合で特許を受けた場合
企業に通常実施権が認められる
また事前に契約、職務規則などで使用者に特許を受ける権利または特許を譲る旨(予約承継)を定めることが認められている
(6)侵害に対する措置
自己の特許権が侵害された場合、侵害する者に対して
差止請求、損害賠償請求、不当利得返還請求を行使でき、新垣する者に刑事罰が科されることもある
③実用新案権
実用新案権とは、技術的思想の創作(考案)で、物品の計上、構造または組み合わせに関するものを保護する権利です
存続期間は登録出願の日から10年間である
特許権の発明ほど高度な技術的創作である必要はなく、小発明を保護する制度で
登録に関して特許権のような実体的審査がない
④意匠権
(1)意匠権
意匠は商品のデザインのことで、物品の計上、模様もしくは色彩またはこれらの結合であって
資格を通じて美観を起こさせるものをいう(意匠法)
意匠権には、部分意匠制度が採用され、物品の一部分のみを意匠登録の対象とすることができる
また、全体として統一があるものについては、組織の意匠が認められている
コーヒーカップとソーサーのセットなど1つの出願で意匠権を取得できる
(2)登録の要件
①工業上の利用性
工業的技術を用いて量産が可能であること
②新規性
出願前に一般的に知られていないこと
③創作非容易性
既存の意匠から容易に創作することができないこと
(3)効力
意匠権者は原則として、意匠登録を受けた意匠とこれに類似する意匠を
業として独占排他的に実施する権利を取得し、存続期間は登録日から20年である