5-2 法定担保物権

ビジネス実務法務検定3級
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5-2 法定担保物権

①留置権

他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、そのものの弁済を受けるまで
その物を留置することができる、それが留置権である
者に関して生じた債権について、その債権が履行されるまで、そのものを留置しておき
債務者に心理的圧迫を加えて履行を促す
したがって、民法の規定する留置駅には、他の担保物権にみられるような優先弁済権は認められない
当事者間の合意により発生するのではなく、法定の要件を満たすことにより当然に発生するので、法定の要件を満たしているかどうかを確認する必要がある

(1)留置権の成立要件(民法295条)

①者に関して生じた債権であること
②債権が弁済期にあること
③占有が不法行為によって始まったのではないこと

(2)成立要件「①モノに関して生じた債権であること(モノと債権の牽連性)」

①債権が物自体から生じた場合

例)OA機器の修理代金債権の支払いを受けるまで、修理業者は修理したそのOA聞きについて留置権を主張できる

②債権が物の返還請求権や引き渡し請求権と同一の法律関係または事実関係から生じた場合

例)OA機器の代金未払いの買主からそのOA機器の譲渡を受けた者が販売業者に引き渡し請求をしてきた場合に
販売業者は留置駅を主張できる
たとえ債権が発生しても、その債権が物に関して生じた債権とはいえない場合には留置権は行使できない

(3)成立要件「②債権が弁済期になること」

留置権は、物を留置することにより債務者に心理的圧迫を加えて履行を促す法的担保物権である
債権が弁済期に至っていなければ履行を促されることはなく、債権が弁済期にあることが留置権の成立要件となる

(4)成立要件「③不法行為によって始まったのではないこと」

留置権は公平という点から認められている法定担保物権である
判例は、占有が不法行為によって始まったものではない場合であっても、占有すべき権利のないことを知りながら
他人の物を占有するものには、類推適用によって留置権の成立を否定している

(5)留置権の性質・内容

附従性債権が成立していなければ留置権は成立しない債権が消滅すれば留置権も消滅する
不可分性留置権者は、債権の全部の弁済を受けるまでは、留置物の全部についてその権利を行使することができる

①留置権者による果実収取権

留置権者は、留置物から生ずる果実を収取し、他の債権者に先立ってこれを自己の債権の弁済に充当することができる

②留置権者による留置物の保管

留置権者は、善良な管理者の注意をもって留置物を占有しなければならない

③債権の消滅時効

留置権の行使をしていても、債権の消滅時効は進行する

④留置権の消滅

留置権者が留置物の占有を失うことによって、原則として留置権は消滅する

②先取特権

債権者は民法などの法律の規定によって、債務者の財産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する
このような法定担保物権を先取特権という
公平、社会政策的配慮、当事者の合理的意思などを考慮して一定の債権について規定されている

(1)先取特権の種類

先取特権には、担保される債権と対象財産の関係に対応して
一般の先取特権、動産の先取特権、不動産の先取特権、の3種類がある

①一般の先取特権(民法306条)

次の4種類の原因によって生じた債権を有する者は、債務者の総財産について先取特権が認められる

(ⅰ)共益の費用
(ⅱ)雇用関係
(ⅲ)葬式の費用
(ⅳ)日用品の供給

②動産の先取特権

不動産の賃借権や動産の売買など8種類の原因によって生じた債権(賃料債権や代金債権など)を有するものは
債務者の特定の動産(賃借不動産に備え付けた動産や販売した動産自体など)について先取特権を有する

③不動産の先取特権

次の3種類の原因によって生じた債権を有する者は、債務者の徳的の不動産について先取特権を有する

(ⅰ)不動産の保存
(ⅱ)不動産の公示
(ⅲ)不動産の売買

(2)先取特権の性質

附従性、随伴性、不可分性、物上代位性がある
物上代位性とは、担保となっている目的物の売却、賃貸、滅失または損傷によって債務者が受けるべき金銭
その他の物に対しても先取特権を行使できることをいう
物上代位をするためには、先取特権者が、本来債務者が受けるべき金銭その他の物の払い渡し
または引渡の前に差し押さえをしなければならない

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