2-1 権利義務の主体を制限行為能力者

ビジネス実務法務検定3級
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◆第二章 取引を行う主体

2-1権利義務の主体を制限行為能力者

①権利義務の主体

(1)権利義務の主体となる者(自然人と法人)

自然人とは現に生存している個人
法人は個人以外に法人格を認められたもので、会社などのこと
これら権利義務の主体となれるものは
自分の名前で権利を得、義務を負うことができる
この権利・義務の主体となることができる能力を権利能力という
権利能力はすべての自然人と、権利能力を与えられる要件を満たした法人に与えられる

(2)意思能力

意思能力は、自分の行為の結果を判断できる精神的能力のことで、
意思能力がない者の行為は無効である
たとえば6歳程度以下の子、重い精神障碍者は意思能力がないとされる
なので、重い精神障碍者が自己の土地や建物の売買契約を他人と結んでも
その契約は無効で効力も生じないことになる

(3)行為能力(意思能力とは観点が異なる)

行為能力とは、自分だけで法律行為(契約)を結ぶことができる能力のこと
行為能力の制度は、意思能力がない者、またはあっても不十分な者を年齢や一定の手続きによって
画一的に行為能力があるか定かを区別する制度である
意思能力が個別・具体的に判断されるのとは異なる
行為能力が認められない者を制限行為能力者といい、制限行為能力者の行為は無効ではなく
取り消すことができる、取り消されるまでは有効となる

②制限行為能力者

(1)制限行為能力者とは

制限行為能力者は、有効な法律行為を単独ですることができない者のことで
具体的には以下の4種類である

①未成年者

未成年者は満18歳になっていない者
未成年者が法定代理人の同意を得ないで行った法律行為は取り消すことができる
法定代理人:親(親権者)や後見人のこと
取り消しは、法定代理人、未成年者本人のいずれからでも行うことができる
ただし、未成年者が贈与を受ける行為や債務を免除されるなど
単に権利を得る、義務を免れる等の場合のように単独で契約などの法律行為を行える場合がある
なお、法定代理人が未成年者を代理して契約を結んだ場合
完全に有効な行為となり、法定代理人、未成年者のいずれも取り消すことはできない

②成年被後見人

成年被後見人とは、精神上の障害によって物事の区別が判断できない状態であると家庭裁判所によって審判を受けた者
成年被後見人の行為は、原則として取り消すことができるが
日用品の購入その他日常生活に関する行為については
単独で行うことができるので取り消せない
成年被後見人の行為は成年後見人が代理して行うが同意権はない
取り消しは、成年後見人、成年被後見人のいずれからでも行うことができる

③被保佐人

被保佐人は、精神上の障害よって物事の区別をする力が著しく不十分であると
家庭裁判所によって審判を受けた者である
被保佐人は一定の重要な行為については、保佐人の同意が必要であり
同意がない場合は取り消すことができる
売買契約等には必ず同意が必要
保佐人は特定の法律行為について被保佐人の申立てか同意があれば、代理権を与えられる
取り消しは、保佐人、被保佐人のいずれからでも行うことができる

④被補助人

被補助人は、精神上の障害によって物事の区別をする力が不十分であると
家庭裁判所によって審判を受けた者である
補助人は審判により特定の行為に関して被補助人の申し立てか同意があれば、同意権と代理権を与えられる
特定の行為について補助人の同意を得ないでなされた行為は取り消すことができる
取り消しは補助人、被補助人のいずれからでも行うことができる


③法人

(1)法人とは

法人とは、自然人の集合した団体(社団)と財産の集合体(財団)に権利能力が与えられたもののこと
団体や財産の集合が自らの名前で契約を結ぶことができる結果
団体や財産の集合の代表者個人の名前で契約を結ぶ必要がない

(2)公法人と私法人

国と法人格を持つ公共団体(都道府県、市町村など)を公法人といい、それ以外の法人を私法人という

(3)私法人(社団法人と財団法人に分類される)


営利事業を営むことを目的とする法人を営利法人
学術、技芸、慈善その他の公益を目的とする法人を公益法人という

(4)分類
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