労働衛生(有害業務に係るもの)
〇作業環境測定
【測定の分類】
A測定作業場所全体の有害物質の平均的な空気中濃度を把握するための測定
床上50cm以上、150cm以下
B測定発生源に近い作業位置での有害物質の作業濃度を把握するための測定
【管理区分】
第一管理区分作業場所の95%以上の場所で有害物質濃度が管理濃度を超えない状態
第二管理区分作業場所の有害物質濃度の平均が管理濃度を超えない状態
第三管理区分作業場所の有害物質濃度の平均が管理濃度を超えている状態
【総合評価Ⅰ A測定のみを行った場合】
第一管理区分①第一評価値<管理濃度
第二管理区分②第二評価値≦管理濃度≦第一評価値
第三管理区分③管理濃度<第二評価値
《評価値》
・第一評価値・・・作業場所の空気中の有害物質の実測値のうち、高濃度側から5%に相当する濃度の推定値
・第二評価値・・・作業場所の空気中の有害物質の算式による平均濃度の推定値
【総合評価Ⅱ A測定とB測定を行った場合】
〇作業環境測定を行うべき場所と測定頻度
暑熱、寒冷または多湿の屋内作業場半月ごとに1回
坑内の作業場半月ごとに1回
放射線業務を行う作業場1か月以内ごとに1回
鉛業務を行う屋内作業場1年以内ごとに1回
酸素欠乏危険場所作業開始前事に都度
その他半年に1回
〇化学物質等による疾病リスク低減措置対策の優先度昇順
①化学反応のプロセス等の運転条件の変更(そもそも危険物を使わない!等)
②化学物質などに係る機械設備などの密閉化(局所排気装置の設置等)
③作業手順の改善(マニュアル整備、立ち入り禁止措置等管理的対策)
④化学物質などの有害性に応じた有効な保護具の使用(最低限)
〇呼吸用保護具
防毒マスクの吸収缶の色
一酸化炭素用:赤
硫化水素用:黄色
有機ガス用:黒色
防じん機能を有する防毒マスクには、吸収缶のろ過材がある部分に白線がいれてある
型式検定合格標章のある防塵マスクはヒュームのような微細な粒子にも効果がある
防じんマスク手入れの際、ろ過材に付着した粉じんは
飛散さんしないように容器または袋に詰めた状態で廃棄
隔離式防毒マスクは、直結式防毒マスクよりも有害ガスの濃度が高い大気中で使用することができる
〇石綿障害予防規則
石綿を取りつかう屋内作業場の作業環境測定:6か月に1回(40年間保存)
局所排気装置1年以内に1回点検・定期的に自主検査→検査記録3年間保存
石綿取り扱いの労働者6か月以内に1回健康診断(40年間保存)
1か月以内に1回作業概要・期間を記録
従事をやめてから40年間保存
事業廃止時石綿関係記録報告書
作業環境測定の記録、および石綿健康診断個人票又はこれらの写しを労基に提出
〇じん肺管理区分
管理一3年に1回じん肺健康診断
管理二1年に1回じん肺健康診断
管理三1年に1回じん肺健康診断
管理四療養を要する
事業者はじん肺健康診断に関する記録・エックス線写真を7年間保存する
〇有機溶剤
多くは揮発性が高く、その上記は空気より重い
すべて脂溶性を有する、脳など神経系に入りやすい
メタノールによる障害:視神経障害(目タノール)
二硫化炭素中毒:精神障害、動脈硬化。
芳香族ニトロ化合物:チアノーゼ
〇有機溶剤中毒予防規則
局所排気装置の排気口は屋根から2m
第一種・第二種有機溶剤は濃度測定必須、第三種有機溶剤の場合は不要
第一種・第二種の場合でも、試験業務の場合は作業主任者の選任不要
作業所に設置する局所排気装置は外付け式フードの場合最大0.5m/s
囲い式フードの場合は0.4m/s
空容器(上記発散のおそれのあるもの)は一定の場所にまとめて集積
〇労働安全衛生規則の衛生基準
坑内における気温:原則37℃
屋内に溶融炉があるときは、加熱された熱を直接屋外に排出、輻射熱から労働者を守る措置を講じる
炭酸ガス(二酸化炭素)濃度が1.5%を超える場所は立入禁止
暑熱または多湿の作業所は休憩設備を作業所外に設ける
廃棄物焼却施設では、6か月以内毎に1回、ダイオキシン類の濃度の測定必須
〇電気放射線障害防止規則
管理区域とは、外部放射線による実行線量と空気中の放射性物質による実行線量との合計が
3か月間につき1.3mSvを超える恐れのある区域または放射性物質の表面密度が
法定に定める表面汚染に関する限度の10分の1を超えるおそれのある区域をいう
上記の外部放射線による実行線量の算定は1cm線量当量によって行う
〇化学物質
ガス
塩化ビニル
硫化水素
アンモニア
二酸化硫黄
ホルムアルデヒド
塩素
蒸気
二酸化炭素
アセトン
トリクロロエチレン
水銀
アクリロニトリル
粉じん
ジクロベンジジン
石綿
ヒューム
酸化鉛
酸化カドミウム
ミスト
クロム酸
硝酸・硫酸
塩素化ビフェニル
〇粉じん障害防止規則
屋内の特定粉じん発生源については、区分に応じて密閉する設備、局所排気装置、
プッシュプル型換気装置の設置を講じる(若しくは同党以上の措置)
常時特定粉じん作業を行う作業所では、6か月以内に粉じん濃度の測定、結果を7年保存
特定粉じん発生源に係る局所排気装置
ヒューム:ろ過除じん方式、電気除じん方式
特定粉じん以外の粉じん作業を行う場合は、全体換気装置による換気の実施が必須
毎日1回以上の清掃
〇粉じんによる健康障害
じん肺は粉じん吸入により肺に生じた繊維増殖性変化する疾病
肺結核・気管支炎、肺がんなど合併することがある
けい肺:遊離けい酸(SiO2)吸入することにより生じる
溶接工肺:溶接の際に発生する酸化鉄ヒュームのばく露いよって発症するじん肺
アルミニウム肺:アルミニウムやその化合物によるじん肺
〇作業環境における有害要因による健康被害
凍瘡しもやけ
低温環境下で組織の凍結を伴わない
造血器障害確定的影響
被ばく線量がしきい値を超えると発生率・重症度が線量に対応して増加
中枢神経障害確定的影響
被ばく線量がしきい値を超えると発生率・重症度が線量に対応して増加
金属熱金属ヒュームの吸入により、悪寒、発熱、関節痛などの症状あり
無酸素状態無酸素状態の空気を吸入すると、一呼吸で死亡
減圧症血液中に溶け込んでいた窒素の気泡化で発生、皮膚のかゆみ、関節痛、神経麻痺の賞状
全身振動障害腰椎などの脊柱障害
局所振動障害レイノー現象などの末梢循環障害・末梢神経障害、関節痛や筋骨格系障害
〇化学物質による健康被害
一酸化炭素赤血球中のヘモグロビンと結合→酸素欠乏状態
シアン化水素中毒酸素利用の障害による呼吸困難、けいれん
硫化水素中毒意識消失、呼吸麻痺
塩化ビニル慢性中毒高濃度被ばく→脳に麻酔作用
低濃度の長期間ばく露→レイノー症状、肝障害、肝血管肉腫
フッ化水素骨の硬化、斑状歯
〇一酸化炭素
炭素を含有するものが不完全燃焼した際に発生
無色・無臭の気体である、吸入しても気が付かないことが多い
エンジンの排気ガス、タバコの煙などに含まれる
赤血球中のヘモグロビンと結合→酸素欠乏状態
一酸化炭素中毒の後遺症として、健忘やパーキンソン症状
〇金属による健康障害
金属水銀中毒勘定の不安定、幻覚などの精神障害、手足の震え
鉛中毒貧血 、末梢神経障害、腹部の疝痛
マンガン中毒筋のこわばり、ふるえ、歩行困難(パーキンソン
カドミウム中毒上気道炎、肺炎、腎機能障害
ヒ素中毒溶血性貧血、角化症などの皮膚障害、鼻中隔穿孔
ベリリウム中毒接触性日増えうん、肺炎、慢性中毒の場合は肉芽腫
〇労働衛生対策
《作業環境管理》
設備の性能、密閉化などの工学的な対策
塗料の変更による有害物質発散の防止
《作業管理》
労働衛生保護具の使用に関すること(マスク・耳栓なども)
作業時間の制限により作業負荷が軽減されること
作業場への立ち入りは作業方法に関わることなので作業管理
《健康管理》
健康診断の結果を受けての配置転換
〇局所排気装置
ダクトの形状断面積大→脱力損失は減少
フードの開口部のフランジあり→効率◎
吸引ダクト→空気清浄装置→排風機(ファン)→排気ダクト
〇特殊健康診断
有害物質による健康障害は、初期または軽度の場合ほどんど無自覚、諸検査の結果により発見が多い
生物学的半減期:体内に取り込まれた有害物質が排出され半減するまでの平均的な期間
尿中または血液中の鉛は数ヶ月である
振動工具の取り扱い業務に係る健康診断は、レイノー現象(白指症)は冬に発症が多いので冬季の実施が適している
情報機器作業に係る健康診断:眼科学的検査、上肢の運動検査機能がある
〇生物学的モニタリング
特殊健康診断における生物学的モニタリングの検査は
有害物の体内摂取量や有害物による健康影響の程度を把握するための検査
トルエン尿中馬尿酸
キシレン尿中メチル馬尿酸
スチレン尿中マンデル酸
テトラクロルエチレン尿中トリクロル酢酸
1.1.1-トリクロルエタン尿中トリクロル酢酸
トリクロルエチレン尿中トリクロル酢酸
N.N-ジメチルホルムアミド尿中N-メリルホルムアミド
ノルマルヘキサン尿中ヘキサンジオン
鉛尿中デルタアミノレブリン酸
〇化学物質等による疾病にかかるリスクを見積もる方法
マトリクス法:発生可能性及び重篤度を相対的に尺度化して、縦軸横軸としてリスクが割りつけられた表を使用する方法
数値化法:発生可能性及び重篤度を一定の尺度により数値化して、加算・乗算する方法
枝分かれ図:発生可能性及び重篤度を段階的に分岐していく方法
簡易評価法:ばく露の測定を行わず、安全データシートなどの情報を利用する簡易的なリスクアセスメント手法
化学物質の有害性とばく露情報の組み合わせに基づいてリスク評価する
尺度化表使用法:対象の化学物質などへの労働者のばく露の程度・有害性を相対的に尺度化し
それらを縦軸横軸とし、あらかじめリスクが割りつけられた表を使用する方法
〇騒音による健康被害
音圧レベルは、その音圧と人が聞き取れる最小音圧(20µPa)との比の20倍、デシベルで表される
等価騒音レベル:時間とともに変動する騒音、一定時間の平均的な騒音を表す
騒音レベルの測定は、通常騒音計の周波数重みづけ特性A
騒音性難聴の初期、4,000Hz付近中心の張力低下の型をc5dipという
騒音は、交感神経の活動の亢進や、副腎皮質ホルモンの分泌の増加が認められることがある
〇電離放射線
電磁波と粒子線がある
エックス線は人口の電離放射線、ガンマ線と同様
紫外線より波長の短い電磁波
白内障:電離放射線の被ばくにより発症、晩発障害に分類され半年~30年度の現れる
電離放射線を放出してほかの元素に代わる元素を放射性同位元素(ラジオアイソトープ)という
化学物質などによる危険性または有害性などの調和等に関する指針に基づくリスクアセスメント